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今年狙われる重要判例
民法4 (4/23)
(最判平11.4.27=平11重判・民法3=判例六法・民法147条1番)

 不動産競売における配当要求に、時効中断効があるか、問題となった。

[参考]
民法147条
    時効は左の事由に因りて中断す。
 一 請求
 二 差押、仮差押又は仮処分
 三 承認
同154条
   差押、仮差押及び仮処分は権利者の請求に因り又は法律の規定に従はざるに因りて取消されたるときは時効中断の効力を生ぜず。
【論点】
 時効中断事由(民法147条)

【判旨】
「執行力のある債務名義の正本を有する債権者は、これに基づいて強制執行の実施を求めることができるのであって、他の債権者の申立てにより実施されている競売の手続を利用して配当要求をする行為も、債務名義に基づいて能動的にその権利を実現しようとする点では、強制競売の申立てと異ならないということができる。
 したがって、不動産競売手続において執行力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求は、差押え(民法一四七条二号)に準ずるものとして、配当要求に係る債権につき消滅時効を中断する効力を生ずると解すべきである。
 そして、右の配当要求がされた後に競売手続の申立債権者が追加の手続費用を納付しなかったことを理由に競売手続が取り消された場合において、右の取消決定がされるまで適法な配当要求が維持されていたときは、右の配当要求による時効中断の効力は、取消決定が確定する時まで継続すると解するのが相当である。
 なるほど、民法一五四条は差押え等が取り消された場合に差押え等による時効中断の効力を生じない旨を定めており、また、競売手続が取り消されればこれに伴って配当要求の効力も失われる。
 しかしながら、執行力のある債務名義の正本を有する債権者による配当要求に消滅時効を中断する効力が認められるのは、右債権者が不動産競売手続において配当要求債権者としてその権利を行使したことによるものであるところ、配当要求の後に申立債権者の追加手続費用の不納付を理由に競売手続が取り消された場合には、配当要求自体が不適法とされたわけでもなければ、配当要求債権者が権利行使の意思を放棄したわけでもないから、いったん生じた時効中断の効力が民法一五四条の準用により初めから生じなかったものになると解するのは相当ではなく、配当要求により生じた時効中断効は右の取消決定が効力を生ずる時まで継続するものといわなければならない。」

【判例のポイント】
1.不動産競売手続において執行力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求は、差押え(民法147条2号)に準ずるものとして、配当要求に係る債権につき消滅時効を中断する効力を生ずる。
2.配当要求がされた後に競売手続の申立債権者が追加の手続費用を納付しなかったことを理由に競売手続が取り消された場合において、右の取消決定がされるまで適法な配当要求が維持されていたときは、右の配当要求による時効中断の効力は、取消決定が確定する時まで継続する(154条の準用はない)。

【ワンポイントレッスン】
 本件では、(1)民事執行手続における配当要求は消滅時効中断事由に当たるか、(2)当たるとすると、配当要求後に競売手続が取消された場合には、その配当要求による時効中断はどうなるか、問題となった。
 判例は、(1)について肯定し、(2)については、配当要求後に競売手続の申立債権者が追加の手続費用を納付しなかったことを理由に競売手続が取り消された場合、取消決定がされるまで適法な配当要求が維持されていたときは、配当要求による時効中断の効力は、取消決定が確定する時まで継続する(初めから生じなかったことにはならない)、とした。

【試験対策上の注意点】
 択一対策として押さえておけば足りる。

(沖田)

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