【論点】
                  債権譲渡の通知(民法467条)と詐害行為取消権(民法423条)
                  【判旨】
                  「債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合において、債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。
                   けだし、詐害行為取消権の対象となるのは、債務者の財産の減少を目的とする行為そのものであるところ、債権の譲渡行為とこれについての譲渡通知とはもとより別個の行為であって、後者は単にその時から初めて債権の移転を債務者その他の第三者に対抗し得る効果を生じさせるにすぎず、譲渡通知の時に右債権移転行為がされたこととなったり、債権移転の効果が生じたりするわけではなく、債権譲渡行為自体が詐害行為を構成しない場合には、これについてされた譲渡通知のみを切り離して詐害行為として取り扱い、これに対する詐害行為取消権の行使を認めることは相当とはいい難いからである(大審院大正六年(オ)第五三八号同年一〇月三〇日判決・民録二三輯一六二四頁、最高裁昭和五四年(オ)第七三〇号同五五年一月二四日第一小法廷判決・民集三四巻一号一一〇頁参照)。」
                  
                  【判例のポイント】
                   債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合、債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とならない。
                  【ワンポイントレッスン】
                   本判決が引用する、最判昭55.1.24(判例六法・民法424条2番)は、「物権の譲渡行為とこれについての登記とは、もとより別個の行為であって、後者は単にその時からはじめて物権の移転を第三者に対抗しうるかを生ぜしめるにすぎず、登記のときに右物権移転行為がされたことになったり、物権移転の効果が生じたりするわけのものではないし、また、物権移転行為自体が詐害行為を構成しない以上、これについてされた登記のみを切り離して詐害行為として取り扱い、これに対する詐欺行為取消権の行使を認めることも相当とはいい難い」として、不動産譲渡の登記に対する詐害行為取消権の行使を否定した。
                   つまり、今回の新判例は、
                  
                    
                      
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                        詐害行為取消 | 
                      
                      
                        | 不動産譲渡 | 
                        = | 
                        債権譲渡 | 
                        ○ | 
                      
                      
                        | 不動産譲渡の登記 | 
                        = | 
                        債権譲渡の通知 | 
                        × | 
                      
                    
                  
                   というふうに、両者をパラレルに扱ったものと言える。
                   学説には異論もあるが、受験対策上は、判例を押さえておけば足りる。
                  【試験対策上の注意点】
択一試験の頻出分野である。判例の結論を押さえておこう。