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本試験予想・分析情報
2001年本試験情報 国 I 2次専門試験法律職(憲法) 問題とコメント

 [No.1](必須問題)
 日本国憲法が保障する基本的人権は、未成年者についても成年者と同様に妥当すると考えるべきであるか。妥当しないときがあるとすればいかなる場合であるか。その理由を含め、具体的に論述せよ。
 [No.4](選択問題)
 内閣法は、「内閣は、国民主権の理念にのつとり、日本国憲法第73条その他日本国憲法に定める職権を行う。」(第1条第1項)、「内閣は、国会の指名に基づいて任命された首長たる内閣総理大臣及び内閣総理大臣により任命された国務大臣をもつて、これを組織する。」(第2条第1項)、「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。この場合において、内閣総理大臣は、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議することができる。」(第4条第2項)、「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基づいて、行政各部を指揮監督する。」(第6条)等々と定めている。
 内閣法のこれらの規定は、日本国憲法についてのどのような理解に基づくものと解すべきかについて、論述せよ。
 <コメント>
 予想通り人権から1題、統治から1題出題された。2題とも佐藤幸治近畿大学教授(京都大学名誉教授)の出題と思われる(なお、類題が外務 I 種や外務専門職でも出題されている。Wセミナー受講生は『解答速報』を参照すること)。
 [No.1](必須問題)は、未成年者の人権享有主体性は肯定されるが、人権保障の程度が異なるという点までは1次合格者であれば誰でもわかるだろう。しかし、人権制約原理が「公共の福祉」(他者加害)とは異なる自己加害にある点(「限定されたパターナリスティックな制約」)に言及しなければならない。
 [No.4](選択問題)は、改正された内閣法の条文をもとに、その背景にある「行政権」の理解を問う問題である。73条1号の「国務を総理すること」の意味を明らかにし、従来の国民=国会(政治)対内閣=行政各部(行政)という図式ではなく、国民=国会=内閣(政治)対行政各部という図式に転換したことを示す必要がある。キーワードは「内閣機能の強化」「内閣総理大臣のリ−ダーシップ」である。
 2問とも芦部『憲法』のような通説的見解では書き切れない。対策としては、まず、通説をマスターしたら、佐藤『憲法』、佐藤・中村・野中『ファンダメンタル憲法』その他の佐藤論文を読む。次に、外 I の過去問(佐藤問題)を研究し、佐藤説を意識した論文対策用の講義・答練を受けておく必要がある。(渡辺)
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